Vol. 21

ノンセクシャルの私の恋愛遍歴

投稿日

2023.07.05

こんにちは。カラーズに入会し、友情結婚(成婚退会)しました、佐藤です。
今でこそ、パートナーの高橋さんと出会い、子どもも生まれて順調に友情結婚生活をしている私ですが、ノンセクシャルと自認する前・後には普通に恋愛をしてきました。
ノーマルの方、ノンセクシャルの方、どちらともお付き合いをしたことがあります。ノンセクシャルとしてどのような恋愛をしてきたか、ご紹介します。

目次

子どもの頃

子どもの頃から、誰かを好きになるという感情はありました。記憶がある中では幼稚園、小学校、中学校、高校と、誰かしら好きになっていたと思います(笑)
はっきりと、この人とお付き合いをしたいと思ったのは高校生の頃だったと思いますが、まだノンセクシャルと自認する前のことなので、それ以上のことは特に思っていなかったです。
一般的な感覚がわからないのですが、大体は好きな人がいたり、この人と恋人同士になりたい!と思う感情の延長線上に、性行為をしたいという感情があるのでしょうか?私はそれがなかったので、ただ好きだから一緒にいたいなぁくらいしか思っていませんでした。

初めてお付き合いした頃

高校生の時、初めて彼氏ができました。もちろん好きで付き合ったのですが、付き合って少し経つと、先の関係を求められますよね。その辺りで私は初めて「ん?」と違和感を持ちました。好きなのにしたくないという気持ちがあり、「なんでこんなことしたいと思うんだろう?」と疑問にさえ思っていたのです。
その他の理由で当時の彼とはお別れしたのですが、決定的に「私は普通の感覚と違うのかもしれない」と思ったのは大学生の頃でした。

ノンセクシャルを自認したきっかけ

大学生の頃、また彼氏ができました。当時はお互い一人暮らしをしていたので、どちらかの家に行き来することは普通でした。それはそれで幸せでしたが、数日彼が私の家に居座ると「そろそろ帰ってくれないかな…」と思うこともありました(笑)これはノンセクシャルだからというより、私が一人の時間が必要な性格だからだと思います。
部屋に泊まることも普通にありました。私としては、彼と一緒に過ごせて嬉しいなぁくらいにしか思っていなかったのでが、彼の方は違いました。一緒に寝る段階になってそういう雰囲気になり、私は「まだ付き合って間もないから、今は嫌」と言って断りました。
けれど、私が寝ている間に身体を触ってくることがあり、それがとても嫌でした。
「まだ付き合って間もないから」と言ったのは私の方です。だったら、いつかはしないといけない?したくない。なんでだろう?彼のことが好きなのに、なんでしたくないんだろう?と、その時初めて違和感に気づきました。
ちょうど、実家に帰省することがあり、物理的に彼とは数日離れることになりました。けれど、実家にいる間に「この帰省が終わったら彼としないといけないかもしれない」と思うと怖くなり、泣いたこともありました。
彼が好きなのに、会うのが怖い。どうしようもできず、彼とはその後お別れをしました。

ノンセクシャルを自認してから

彼と苦い別れをしてから、私はインターネットでようやく「ノンセクシャル」という言葉に辿り着きました。これだ!と思いました。
当時はmixiが流行っていたので、ノンセクシャルのコミュニティに入ってみたり、ツイッターでノンセクシャルの人との交流を始めました。誰にも相談できなかった私の経験に対して「あるある」「わかる!」と共感してもらえることがすごく嬉しかったし、安心したのを覚えています。良かった、私だけじゃないんだ、と思うと同時に、これから私は一人で生きていくしかないんだろうかと漠然とした不安もありました。

ノンセクシャルの彼との出会い

それから、SNSで同じ趣味を持つノンセクシャルの男性と出会いました。意気投合し、数回会って一緒に趣味を楽しみました。
好きなものが一緒で、感覚も似ていて、ノンセクシャルで、あと見た目も好みだったので、私は「彼と一緒にいられたらいいなぁ」と思うようになりました。会って何度目かのとき、彼も同じ気持ちを伝えてくれて、付き合うようになりました。
当時は遠距離だったので、お互いの住んでいる地域を行き来して、一泊して帰るという感じでした。もちろん、それまではハグ以上のスキンシップはありません。一緒にベッドに寝ても何もないですし、ただ手を繋いで「おやすみ」と言って眠るだけでしたが、こんなに好きな人と一緒にいて安心できるなんて、と過去に付き合っていた彼と比べて幸せを感じていました。当時のことは、とてもトラウマになっていたのです。

ノンセクシャル同士の違い

彼もノンセクシャルでしたが、スキンシップの度合いはお互いに違っていたように思います。
私はハグまでは大丈夫で、むしろ安心するので好きだったのですが、彼はあまり好きではなさそうでした。ただ、手を繋ぐのは大丈夫でした。
また、好きの度合いも違っていたように思います。私はどちらかというと、好きにはなるけれど感情が薄い方でした。彼はとても私のことを想ってくれて、それは嬉しくはあったのですが、ちょっと重いと思うこともありました。
ノンセクシャルと一言で言っても、人によって違う部分もあるんだなぁと、当然なことながら改めて感じていました。

それからの恋愛

ノンセクシャルの彼とは、セクシャリティとは違う理由でお別れをしました。
それから、私は何度か人を好きになりました。けれど、相手が過去に異性とお付き合いをしていた経験があったり、言動から性的な感じがあると「この人はノンセクシャルじゃないんだな」と一歩引いていました。
もしアプローチしたとして、相手が私を好きになってくれて、お付き合いをするとなったとき、また過去のように辛い思いをするのではないかと思いました。私が我慢すればいい話なのですが、相手にも嫌な思いをさせてしまうかもしれない、と思うと積極的な行動はどうしてもできませんでした。
この人がノンセクシャルだったらどれだけいいか、と何度も思いました。それから私は友情結婚の方向に舵を切るわけですが、それはまた別に機会に書くことにします。

ノンセクシャルを打ち明けること

ノンセクシャルでも誰かとお付き合いした経験がある方はいらっしゃると思います。ノンセクシャルであることを隠したままだったり、打ち明けてお付き合いすることもあるでしょう。結果的に、私はノンセクシャルであることを打ち明けたり、逆に隠してノーマルの方とお付き合いするという経験はありませんでしたが、実際にそれをするのは勇気がいることだろうなぁと思います。
打ち明けて、それを受けて入れてくれる相手であるかどうか、それを見極める目や覚悟も必要です。ただ、それだけ相手のことが好きだという気持ちがあることも、また幸せなことだとも思います。

もし今、好きな人がいたら

高橋さんと友情結婚をしていないという前提で、もし今私に好きな人ができたら、やっぱりノンセクシャルであることは言わないと思います。言ったことで、相手がそれを理解してくれるかはわかりませんし、誰かにバラされるのではないかという不安もあります。
ただ、結婚適齢期ではあるので、周囲の友人がどんどん結婚して子どもが産まれている中で、きっと焦りはあっただろうと思います。そういった焦りで結婚したわけではないのですが(少し後押しにはなりましたが)、友情結婚という形でも結婚したことは将来の不安を薄める点でも良かったなと思っています。

sato
著者:佐藤

10代でノンセクシャルを知り、20代で恋愛結婚はできないと断念。一念発起してカラーズに入会後、友情結婚(成婚退会)しました。人工授精で子どもを授かり、現在は夫の高橋さんと協力しながら子育て真っ最中。元友情結婚活動者、結婚当事者のリアルな姿をお届けします。