Vol. 4

アセクシャルの私が経験した妊娠から出産

投稿日

2023.09.15

友情結婚をして5年目になりますが、たまに言う夫の寝言が面白いのでスマホに記録していこうと思った日から、彼が寝言を一切言わなくなりました。けちゅこです。悪い事をしようとすると相手にも伝わるのでしょうか。

前回はアセクシャルの私の妊活についてお話しさせて頂きました。今回は第一子の妊娠中のことを書いていきたいと思います。

里帰りについて

待ち望んでいた妊娠が判明し、浮かれていた私でしたが、コロナの第一波の真っ只中。1回目の緊急事態宣言が出された時期でした。
県外からの移動者は村八分にされそうな雰囲気でしたので、里帰り出産は微妙でした。それに私自身、少しでも長くなるべく働きたかったのと、夫に立ち会って欲しい気持ちがあったので、里帰り出産はせずに近所の産院で産む事にしました。
出産に立ち会って欲しかったというと、「アセクシャルなのに何で?」と変に思われるかもしれませんが、私は嫌な気持ちは無く、「タイミングが合えば立ち会いたい」という夫の言葉にむしろ嬉しく思いました。
確かに気恥ずかしい気持ちもありましたが、それよりも第一子の出産という人生に1度しか無い機会を夫にも経験させてあげたかった、というとおこがましいですが・・・立ち会いたいと言ってくれてありがとう、という気持ちでした。

里帰りはしないと決めたものの、もし夫が居ない時に陣痛が来てしまったら自力で病院まで行かなければなりません。なのでなるべく家から近い産院にしようと思いました。以前、シリンジの件でお世話になった先生のいる産院が家から一番近かったので、そちらでお世話になろうと思い、診察予約を入れました。

妊娠検査薬では陽性と出たものの、本当に妊娠してるかな?とドキドキしながら診察室に入りました。赤ちゃんいるよ、と言われた時は本当に嬉しかったです。思わず、「実はわたし半年前に来たシリンジの者なんですよ」と若干ドヤ顔で言ったら、先生は私の事もシリンジの事もなーんにも覚えていませんでした。せめてシリンジは覚えとかんかい(笑)
でも病院のご飯も美味しくて、助産師さんも大変良い方だったので、この産院を選んで本当に良かったです(笑)

妊娠中のこと

妊娠中は、ありがたい事につわりはあまり無く、味覚に多少変化があったくらいでした。 好きだった物がそうでもなくなり、苦手だった物が美味しいと感じるようになりました。これは今でも戻りません。
ただ、私の知り合いは、つわりが酷すぎて入院したと言っていて、あんな辛い思いはもう二度と経験したくないから2人目は諦めた、と言っていたくらい辛い方もいらっしゃるので、本当に個人差が大きい事なんだな、と思います。

心の変化は少しありました。

涙腺が弱くなったり、子供に対する目線が大きく変わりました。他人事じゃなくなったからでしょうか。つい小さい子を目で追ってしまったり。今までは何とも思わなかったのに、スーパーに売られていたパックに入った子持ちししゃもを見て「なんと無慈悲な・・・」と思うようになりました(笑)今はなんとも思いません(笑)

出産

タイミングが良く彼が休みの日に陣痛が来たので、付き添いもしてもらい、出産にも立ち会ってもらう事ができました。
この第1子の出産は、私達にとってものすごく良い思い出になりました。

陣痛時に、おしりをグーっと押してもらうと、はちゃめちゃスーパー超絶にマシになるのですが(マシになるだけです、ラクになる訳ではありません笑)、彼は約7時間、献身的に押し続けてくれました。飲み物も、私は自分で飲む余裕がなかったので、彼が飲み物を口まで持ってきて飲ませてくれました。彼からしたら、病室で気も落ち着かないし、休めないし、相当疲れたろうなぁ、と思います。陣痛中、心の中で何度も何度も感謝しました。「この御恩は一生忘れません・・・」と本気で思いました。こうして書いていると当時の気持ちを思い出してきました(いや忘れてたんかい)

男性側はキツイかもしれませんが、陣痛中にサポートしてもらった事で、私はものすごく感謝の念が湧きました。1日で好感度ググンと上がるので、立ち合い出産、私はおすすめします!

産後思ったこと

どうして女性側だけが痛みを伴って産まなければならないのかと腹立たしく思う事もありましたが、逆に男性はどう頑張っても出産は経験できない事だよなぁ、とも思いました。
また、お腹に赤ちゃんがいる感覚、赤ちゃんとの一体感なども、女性しか感じる事ができない事なのかな、と思います。

それと子供が大きくなってくると、大体の子供は「パパイヤ期」がありますよね。
私は子供が2人いますが、どっちも「ママがいい」と言い私にべったりです(ドヤァ)
家族の為に頑張っているのに、「ママがいい〜!!」と嫌がられ、なすすべなく立ちすくむ夫を見てたまに切なくもなります。
いくつになっても男の子はお母さんが好きだし、私自身も、育児で母や義母に頼る事も多くて、お母さんの存在って、お父さんよりも大きいなぁと正直思います。その点でも、自分はお母さんで良かったなぁと思います。

そう考えると女性の出産の痛みの代償は安く、むしろコスパ高いんじゃ?なんて思っちゃいます。
あっもちろん頼りになるお父さんのことも私は大好きです!言い訳のようになってしまいました(笑)

まとめ

私は幸い、つわりは軽い方でしたが、もしこれを見ている男性の中に、パートナーが妊娠中、またはこれから妊活に取り組まれる方がいるなら、ぜひパートナーの体を労ってあげて欲しいです。
自立している女性は特に、弱みを見せたり甘えるのが苦手な方が多いので、「このくらい平気だよ」と強がってしまったりします。でも、「あ、そう?」と引かずに、「いいからいいから」と押し切るのも優しさだと思います。
女性の方も、なるべく相手に頼れるように今のうちに練習しておくといいかもしれません。
子供が産まれてからの生活は、パートナーに頼らないと自分がしんどくなっちゃいます。

夜はぐっすり寝られないので睡眠不足にもなります。授乳やミルクで2〜3時間ごとに起きる生活が1年くらい続きますし、子供が大きくなると夜泣きもあります。もっと大きくなったらおねしょで起こされる事もあります。なのに子供って朝起きるの早いのは何故なの。。。
睡眠不足だと冷静な判断ができなくなる為、すごく危険です。産後は情緒も不安定になりやすいですし。だからできるだけパートナーや家族の援助を借りた方がいいと思います。

私は上手に夫や家族に頼る事ができず、1人で勝手に夫に苛立って喧嘩をふっかけるような事もしてしまいましたし、無理がたたって体調を崩してしまった時期もありました。
「○○をして欲しい」その一言が遠慮してしまってなかなか言えませんでした。
私のようにならないように、今のうちに甘える練習として、パートナーからの優しい提案はなるべく受け入れていきましょう!申し訳ないなぁなんて思わずに。

そして、してくれた事に対して「ありがとう、パートナーがあなたで良かった」と少しオーバーに言いましょう!相手も悪い気はしないはずです。
私は体調を崩した事がきっかけで、少しずつ夫に対して甘えるようになりました。私が無理をすると、夫や子供にも迷惑がかかると学んだからです。
その後、負担を軽くする為の時短家電を買ってもらったり、最近では私より彼の方が家事をしてくれています。以前の私なら、洗い物を彼がしてくれているのを見たら、「後で私がやるから、そのままでいいよ」と言っていたと思います。今は全身全霊で「ありがとうございますっ!」と言って甘えています。「あ〜帰ったらお風呂洗わなきゃ〜」と考えながら帰宅してお風呂に行ったら浴槽がピカピカだった時の心の弾みようはすごいです(笑)してもらったら、自分もしてあげようと思いますもんね。

ピリピリした雰囲気になる日ももちろんありますが、子供の話で毎日笑えて幸せだなぁと思います。この幸せな日々が送れているのはパートナーである夫のおかげなので、彼と出会えて本当に良かったです。

最後は変に真面目になっちゃいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

kechuko
著者:けちゅこ

アセクシャルで二児の母。 2018年にカラーズ に入会し、7ヶ月間の活動を経て、現在のパートナーと出会い、成婚退会。シリンジでの妊活経験や、アセクシャルである事の悩みなど、マイノリティだからこそ、この経験をもっと共有していくべきでは、と思い、ブログに参加する事に。名前の由来は娘のおしりの呼び名から。