トランスジェンダーの僕が、家族に友情結婚をオープンに話せた理由

Vol. 9
投稿日

2026.07.24

どうも!サウニャンコ夫婦の夫、トト丸です。

前回の妻(ミケ子)の記事を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。今回は僕の視点から、トランスジェンダーのカミングアウトや、家族との関係性、友情結婚を伝えた時のリアルな話をしてみようと思います。僕たち夫婦がどうやってそれぞれの家族と心地よい距離感を築いていったのか、一つのリアルなサンプルとして読んでもらえたら嬉しいです。

僕はトランスジェンダーです。最初のカミングアウトは12歳の頃、母親に相談しました。母や兄弟の反応は拒絶とは程遠く、「そうだろうね」という驚くほど自然なものでした。当時未成年だったこともあり、母は一緒に調べ物をしたり、カウンセリングに同行したりしてくれました。

学校生活での対応は時期によって変えていました。中学校まではカミングアウトせず、「埋没して生きていたい」という気持ちが強かったです。進学した高校は自由な校風で、制服も名簿の性別欄もなく、僕より前にもトランスジェンダーの生徒が在籍していたそうです。戸籍の改名前でしたが、学校側は改名後の名前で通わせてくれました。

現在は戸籍変更も済ませ、職場でのカミングアウトはしていません。「一人の男性として静かに生きていきたい」という思いがあるからです。そのため、僕がトランスジェンダーであることを知っているのは、家族、妻のミケ子、そしてごく親しい友人だけです。

自分がアセクシャルかもしれないと気づいたのは、カラーズ入会1ヶ月前頃でした。その時、たまたま見つけた鈴木おさむさんの「恋愛感情ゼロで、リスペクトを軸に結婚生活を続けている」というネット記事を母に見せました。まだ自分がアセクシャルなのかもはっきり分からず、友情結婚をしたいと思っていたわけでもありませんでしたが、芽生えていた感覚を母と共有したかったんです。実家のリビングでお茶を飲みながら、「人として尊敬できる人と人生を歩んでいきたい。そこに恋愛感情はなくていい」と伝えると、母は「そうだね、そういう結婚の方がいいかもね」と共感してくれました。

その後、カラーズでの婚活を経てミケ子と成婚退会し、改めて家族に正式に報告しました。今度は「友情結婚」というワードを出し、アセクシャルやノンセクシャルなどの単語の意味も説明しました。母や兄弟からは「過去に男性に何かされたことでもあるの?」といった素朴な疑問をいくつか聞かれましたが、丁寧に答えていくと、最後には「そういう(夫婦の)形もあるんだね〜」と言ってくれました。

親しい友人にも同じように話したのですが、こちらは家族以上にあっさりしていて、いくつか質問はされたものの「あ、そうなんだね〜」くらいの反応で、拍子抜けしたのを覚えています。

正月のような特別なタイミングだけでなく、普段からミケ子と二人でふらっと実家に顔を出すこともよくあります。近所でご飯を食べた帰りに寄ってみたり、というくらいの気軽さです。たわいない話をしたり、一緒にテレビを見て笑ったり。良い意味でごくごく普通の関係性で、母がミケ子を自然に受け入れてくれているのが伝わってきます。

前回の記事で、ミケ子が僕の後押しで実のお母さんにカミングアウトした、という話がありました。僕自身は「本当の自分を隠して生きるしんどさ」をそれなりに味わってきたので、「一番身近な家族に、友情結婚のことを隠しながら結婚生活を送る」という選択肢はそもそもありませんでした。

家族以外の場所ではカミングアウトしていないので、周囲から「ラブラブだね〜」と恋愛結婚特有のノリで声をかけられる機会はどうしてもあります。悪いことをしているわけではないのに、なんとなく隠し事をしているような感覚があって、正直あまり気持ちのいいものではありません。ただ、自分から見て距離のある人たちだからこそ、適当にかわしてやり過ごせている部分もあります。これがもし家族だったら、話は別だろうなとずっと思っていました。距離が近い相手にはぐらかし続ける方が、きっとしんどいはずです。

実際、ミケ子が実家でその言葉をかけられるたびに、少しモヤモヤしたりはぐらかしたりしていることに気づいていたので、「家族の前だけでも本当の自分でいられた方が、これから先の結婚生活が絶対に楽になるよ」と背中を押しました。結果的に、ミケ子の心が晴れやかになって本当に良かったと思っています。

僕から見た義理のお母さんは、一言でいうと「ベタベタしすぎず、必要な時に助けてくれる大切な存在」です。大の猫好きで、僕たちが旅行に出かける時はいつも家に泊まりにきて、猫たちの世話をしてくれます。「今、マロが寝てるよ」「ご飯ちゃんと食べたよ」「さっきまで横で寝てくれてた〜」と、こまめに様子を送ってくれるのですが、その内容を見るたびに、僕たちよりよっぽど猫たちの面倒を見てくれているんじゃないかと思うほどです。温泉やスーパー銭湯も好きな方なので、たまに3人で出かけたりもする、気を使わずにいられる心地よい関係です。

ミケ子のお母さんには、僕がトランスジェンダーであることは話していません。僕の中ではもうとっくに区切りがついていることなので、今さら新しい人に話すことでもないかな、という感覚です。過去のバックグラウンドは、現在やこれからのミケ子との夫婦生活には関係がありませんから。

ただ、もし今後「子供を授かること」を具体的に考えるときが来たら、それは話す必要があるタイミングだと思っています。血の繋がりがない子供が生まれることになるので、「パパに顔が似てるね」と言われた時に困らないようにするためです。その時が来たら、また二人で考えればいいと思っています。

家族の在り方や、どこまでカミングアウトするかに一律の正解があるとは思いません。距離感に正解があるわけじゃなくて、うちはただ、居心地のいい方をその都度選んできただけなんだと思います。僕たち夫婦の形が、これから友情結婚や家族との関係に悩むどなたかの参考になれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

saunyanko
著者:サウニャンコ夫婦

【夫:トト丸】
トランスジェンダーでアセクシャル。2022年夏にカラーズに入会し、同年冬にパートナーと成婚退会。現在は妻のミケ子と、猫4匹と穏やかな日々を過ごしている。恋愛を前提としない「友情結婚」という選択肢や、マイノリティとしての婚活経験を共有したいと思い、ブログに参加。名前の由来は共通の趣味のサウナ、猫から。

【妻:ミケ子】
ノンセクシャル。2022年夏にカラーズに入会し、同年冬にパートナーと成婚退会。現在は夫のトト丸と、猫4匹と穏やかな日々を過ごしている。恋愛を前提としない「友情結婚」という選択肢や、マイノリティとしての婚活経験を共有したいと思い、ブログに参加。名前の由来は共通の趣味のサウナ、猫から。