【書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』の感想】

投稿日

2026.02.13

出典:『増補新版 女ふたり、暮らしています。』
(キム・ハナ、ファン・ソヌ著、清水知佐子訳/CEメディアハウス)

書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』は、友人を人生のパートナーとして一緒に暮らす2人によるエッセイです。

「恋愛や結婚が当たり前」「結婚しないと生涯孤独」などの固定観念に違和感を覚えたり、悩まされている人は少なくありません。しかし、人生は結婚とシングルライフの2択ではないとあらためて認識させてくれる、そんな作品です。

今回は、書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』の概要やあらすじとともに、読んで感じたことや感想をまとめました。

感想にはネタバレを含みますので、まだ読んでいない方は注意してご覧ください。

書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』は、2025年11月20日に発売されました。著者はキム・ハナとファン・ソヌの2人で、清水知佐子が訳を担当しています。

韓国ではベストセラーとなり、著者2人がパーソナリティーを務めるポッドキャスト「女ふたり、トークしています。」は、数十万人ものリスナーに親しまれています。

伝統的な家族構成とは異なる選択をする著者2人は、多くの人に希望を与えているのではないでしょうか。

世間では結婚やらシングルライフやらがよく語られていますが、書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』では、結婚でもシングルライフでもないもう一つの選択肢、友人を人生のパートナーとし生活していく様子がありのままに描かれています。

例えば、二人がどのような考えを持ち同居するに至ったのか、友人と同居する魅力、ときには同居していて困ることなど。

自分らしくいられる選択をし、自分らしい幸せのカタチを作ることが大切なのだと思える、そんなエッセイです。

書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』を読み終えて感じたのは、誰かの幸せではなく「自分の幸せが何か」と向き合うこと、どんな選択をするにも悩みや葛藤があるのだと思いました。

ここからは、ネタバレを含む書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』を読んだ感想をまとめています。まだ書籍を読んでいない方は、注意してご覧ください。

結婚もシングルライフもなんだかしっくりこない

『ひとり暮らし以外には結婚しか選択肢がないと思っていたら、私たちの楽しい同居はあり得なかったはずだ。』(p.15)

この世には恋愛や結婚が当たり前で、結婚しなければ生涯孤独だという固定観念によって、「孤独になりたくないから結婚する」という人がいるかもしれません。

しかし、人生の選択肢は結婚だけでなく、シングルライフも立派な選択肢であると同時に、結婚とシングルライフの2択というわけでもありません。

著者の2人のように「友人と同居する」、これもまた立派な選択です。

私も1人でご飯を食べたり旅行したりすると、その自由さにワクワクする反面、この美味しさ・景色を誰かを共有できていたら、一緒に「美味しいね」「綺麗だね」と言い合えたらまた違う楽しさがあったのだろうと思うことがあります。

1人での行動はなんでも自分で決められて効率的です。誰かと一緒に行動すると非効率的で想定外の出来事が起こることもあるでしょう。

しかし、1人で行動するときには起こりえないような経験をもたらし、それがよいことであっても災難であっても、いつかの未来に「そんなこともあったね」と思い出として語り合えるのは、誰かと一緒に過ごすからこそ得られるものなのかもしれません。

ただ難しいのは、今までは1人でいることが幸せだと感じていたにもかかわらず、友人と暮らし始めたことで、これまでの幸せのなかにはどこか不安があったと気づかされることもあるということです。

知らないうちに自分の気持ちに気づいていないふりをしていることがあるかもしれません。だからこそ、人生の選択に迷い、世間一般的な選択肢がしっくりこないときには、自分が本当に求めていることは何なのか、自分らしい選択肢を探していくことが大切なのだと思います。

私の人生のパートナーは友人だった

著者のキム・ハナは、同居人であるファン・ソヌのことをこう言っています。

『ファン・ソヌは性別に関係なく、私が今まで出会った中で最も魅力的な話し相手だった。』(p.26)

相手に感じる魅力や心地よさは性別、ましてや恋愛感情の有無で左右されるものではないのでしょう。バッググラウンドや趣味、ユーモアセンスが似ているなど、相手に魅力を感じる理由は人それぞれあるのです。

そして、「魅力を感じる=恋愛感情がある」というわけでもないことが分かります。感情の種類は色々で、誰しもが恋愛感情と人に感じる魅力が結びついているわけではないのです。

ただし、勘違いしてはいけないのは、似ている部分が多いからといって、必ずしも気が合うとは限らない、一緒に暮らしていて楽しいと思うかは分からないということです。

「違いがある=優劣がある」というわけではありません。違っている部分はその人の個性であり、違いこそが人間の面白味でもあると感じます。

違いを受け入れ、違いを楽しめる相手をパートナーとする。そこに性別や恋愛感情の有無は関係なく、著者2人はたまたま「友人」という人生のパートナーを見つけただけなのです。

固定観念という壁とそこに感じる矛盾

世間でいう普通=固定観念の影響はまだまだ大きいでしょう。

例えば、性別を色で表すと男の子が青、女の子は赤で表され、なぜか自然とその色分けが理解できます。

私が小学生の頃は、現在の小学生のようにランドセルの色は多様でなく、男の子は黒で女の子は赤を選ぶ、それ以外の色を選ぶ人は変わっていると言わんばかりの雰囲気があったのをなんとなく覚えています。

『私が不安で焦っていたのは、結婚できないからというよりも、「結婚できないお前に問題がある」「このまま結婚できずにいたら、大変なことになる」と不安をあおり、焦らせ、脅した人たちのせいだということを。』p.99

このように、世間には「周囲と違う=欠陥がある」という意識を植え付けられる機会が少なくありません。

また、将来1人でいることを考えたとき、お金や健康面でさまざまな不安が浮かぶでしょう。ただ、そういった不安は結婚や子どもによってすべて払拭されるわけではありません。

にもかかわらず、世間一般ではたびたび将来の不安を取り除く手段として結婚や子どもが語られます。しかし、実際には結婚や子どもがいることによって生じる不安だってあるのです。

結婚や子ども、シングルライフ、友人との同居、すべては自分らしい人生につながる選択肢のひとつであり、不安を解消する手段ではありません。

固定観念に則った人生はある種の安心を与えてくれることがありますが、そこには多くの矛盾があることを決して忘れてはならないと感じます。

誰かと暮らすために必要なのは

誰かと暮らすということは、相手を受け入れる、もしくは受け入れる努力をすることが大切なのだと感じました。

自分と同じ人間は誰ひとりとしていません。だからこそ、家族やパートナー、仲のよい友人、どんな関係性の相手であろうと衝突が起こることもあるでしょう。

それでも、衝突しながら相手を理解しようとする、その姿勢が良好な関係を構築するうえで重要なのだと思います。

また、人はどうしてもみなが自分と同じものを見ている、感じていると勘違いしてしまいがちです。

『私はいつも、鏡にはねた水滴の跡やテーブルの上のしみみたいなものを見ると、「どうしてこれを見て拭かないんだろう」と思っていたけれど、それは間違っていた。見えないのだった。』(p.222)

私はこの文章を読んだとき、自分の両親を思い浮かべました。

私も帰省するたびに、「なんで放っておくのだろう」と少しイライラしながら、水垢のついた鏡を拭き上げることがあるからです。きっと私が見ている鏡と両親が見ている鏡では、感じるきれいさが違うのだろうなと、今さら気づかされました。

その人の視点に立って物事を見てみる、考えてみる。これがどれだけ重要なことかは頭で分かっていても、日常的にその意識が働いているわけではないのだなと感じます。

つまり、私も知らないうちに自分の固定観念を押しつけ、自分の考え方こそが正だと語っていることがあるのかもしれないと思うと……。

そして、全体を通して著者2人は互い以外にも、同じマンションに住む友人や仕事仲間と助け合いながら生活している様子が印象的でした。

結婚したらパートナー中心、友人と暮らすのであれば同居人中心の生活になりそうだという考えが一瞬よぎりましたが、「友人と暮らす=頼れるのは友人だけ」というのは間違い。

近所に住む友人だけでなく、仕事仲間や行きつけが同じの常連客など、人との関わりは色々な場所にあってよいのだと思います。

きっとシングルライフを選ぶ人だって一生1人で行動しているわけではありません。色々なコミュニティで一緒にいて心地よいと感じられる相手と関わることが、将来の安心につながることもあるのでしょう。

人生のパートナーに友人を選ぶ魅力

一般的に、結婚すれば互いの親は義理の親として、気遣いが必要になる場面も多いでしょう。しかし、同居している友人の親となれば、程よい距離感を保ちつつ、必要以上に気遣うこともないのかもしれません。

これは、気の合う友人と同居するという選択をしたからこそ得られるもののような気がします。結婚で得られるもの、友人との同居で得られるもの、それぞれによさがあり、どの選択がよいかは本当に人それぞれ違うのでしょう。

また、誰かと暮らすことは、1人で暮らすときにはない緊張感があります。

『今日は原稿を一つ書くぞと言っておきながらズルズル引き延ばし、夜になってリビングのテーブルでノートパソコンを開くのは、同居人に情けないと思われたくないという 緊張感の表れだ。』(p.287)

緊張感がストレスになる人もいれば、著者のようによい方向へ作用する人もいます。

私も仕事が行き詰まり、自宅ではどうも集中できないというときは、人が大勢いるカフェに移動することがあります。

私のことなんて誰も気に留めていないことは分かっていても、誰かに見られているという緊張感のようなものが生まれ、なんだか仕事が進むような気がするのです。

友人と同居するその緊張感が、そのときどきの自分を鼓舞してくれる、それは誰かと暮らすことで得られるメリットのひとつでしょう。

全部が全部同じ人なんていない

『人がひとりひとり違うように、四匹の猫の体格や毛の色、くせ、心も全部異なりますから』(p.350)

当たり前のことではありますが、著者の飼っている猫4匹はそれぞれ違うように、自分と全部が同じ人なんていません。

世間では「男なら」とか「女らしく」みたいに、同じ類の人間はすべてが同じように語られることがありますが、性別が同じでも顔かたちや性格が違うと同時に、どんなものや人に魅力を感じ、どんな瞬間に幸せだと思うのかはまったく違います。

同じような部分があったとしても、すべて同じだと勘違いしてはいけないのです。

また、著者2人は似たもの同士といえる反面、違う部分も多いように感じました。それでも、互いの違いを受け入れながら、どちらかが我慢してあわせるのではなく、互いが互いのために変わろうと努力している姿が印象的でした。

たとえ変われなかったとしても、互いに歩み寄ろうとする心や姿勢が、互いを許し合えるような関係を構築していったのでしょう。

書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』は、結婚でもシングルライフでもなく、友人と暮らすという選択をした2人のエッセイでした。

自分らしい選択をするまでの悩み、その後の葛藤、そして自分らしい選択をするという魅力がひしひしと伝わってきます。

周りと違う選択をすることは、勇気のいることかもしれません。それでも自分と向き合い、自分らしくいられる選択、自分にとっての幸せの形を模索することが大切なのではないしょうか。

人生の大きな選択に迷ったとき、書籍『増補新版 女ふたり、暮らしています。』は、そっとあなたの背中を押してくれるはずです。この機会にぜひお手に取ってみてください。

本書の著者2人のように、「共に過ごせる人さえいれば結婚しなくて良くない?」というスタンスで同居生活を送る女性たちがいます。 35歳の幼馴染、ユキとチナツ。彼女たちの日常を描いた「FrieMa(フレマ)」の公式Xは、まさにこのエッセイの実践版のようで、見ているだけで心が軽くなります。

結婚せぬ2人の日常>> https://x.com/FrieMa_official

また、FrieMaでは、そんな「結婚じゃなくていい、でもパートナーは欲しい」という人同士を繋ぐサービスも展開しているそうです。 自分の人生にしっくりくる相手を探してみたい方は、こちらも活用してみてはいかがでしょうか。 

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まつもとしおり
著者:まつもとしおり

Webライター4年目。BtoBマーケティングや不動産関連など、複数のWebメディアで記事制作を担当。 読者に伝わる言葉を大切に、より多くの方に価値ある情報を届けてまいります。

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