プラトニック・コペアレンティングとは?従来の家族観との違いやメリット・デメリット
結婚や恋愛を前提にせず、「子どもを育てたい」という思いを叶える選択肢のひとつが「プラトニック・コペアレンティング」です。
恋愛感情を伴わずに子育てを協力し合う関係を指し、海外では少しずつ広がり始めているようです。
本記事では、日本では馴染みがない、プラトニック・コペアレンティングの基本的な意味やほかの家族観との違い、メリット・デメリットまで詳しく解説します。
目次
プラトニック・コペアレンティングとは
プラトニック・コペアレンティングとは、恋愛関係にない者同士が協力して子どもを育てる関係性のことです。
| 恋愛関係 | なし |
| 性的関係 | なし |
| 入籍の有無 | どちらの場合もある |
| 同居/別居 | どちらの場合もある |
親のあいだに恋愛関係や性的関係はなく、子どもを育てる・幸せにするという共通の目標のもとで成立しています。
籍を入れるパターンと事実婚のように籍は入れないパターンの両方があり、同居するかどうかも親同士の話し合いによって決まります。
なお、プラトニック・コペアレンティングでは、親が2人で協力することがほとんどですが、3人以上で協力するケースもあるようです。
欧米を中心に広がりつつあり、子どもを育てる・幸せにするうえで、親の恋愛関係や性的関係が必ずしも必要ではないことを示してくれています。
プラトニック・コペアレンティングの歴史
プラトニック・コペアレンティングという考え方がいつ登場したかは不明です。しかし、プラトニック・コペアレンティングが登場した背景には、諸外国の離婚後も共同親権を持ちながら、協力して子育てをおこなう文化があります。
諸外国とは異なり、日本では離婚すると親権をどちらか一方が持つことになります。その反面、離婚後も共同親権を持てる諸外国では、婚姻関係を解消したあとも元夫婦が協力して子どもを育てることが当たり前という価値観がある傾向です。
そのため、離婚後の恋愛関係や性的関係のない元夫婦が協力して子育てをする=プラトニック・コペアレンティングとして、少しずつ広がっているのが背景として考えられる要因のひとつです。
諸外国では、プラトニック・コペアレンティングという関係を目的としたマッチングアプリも登場しているようです。また、セクシャルマイノリティ同士で一緒に子どもを育てたいと考える人も増えてきました。
このような背景から、プラトニック・コペアレンティングという考え方が欧米で広がり始めたのではないかと考えられています。
プラトニック・コペアレンティングと友情結婚の違い
| 考え方 | プラトニック・コペアレンティング | 友情結婚 |
| 入籍の有無 | どちらの場合もある | 入籍する |
| 子どもの有無 | あり | どちらの場合もある |
| 目的 | 子どもを持ち育てること | 理由は様々 |
よく混同される考え方に友情結婚があります。友情結婚とは、夫婦間に性的関係を持たず、友情や信頼関係のもとで成立する結婚の形です。セクシャリティを理由に性的な行為ができないもしくはしたくない人の選択肢のひとつです。
プラトニック・コペアレンティングと友情結婚では、入籍の有無・子どもの有無・目的が異なります。
一般的に友情結婚する夫婦は、籍を入れる法律婚にあたり、子どもを設けるかどうかは夫婦によって異なります。目的も「パートナーが欲しい」「家族が欲しい」「老後の不安」「世間体やキャリアのため」など、人によってさまざまです。
一方のプラトニック・コペアレンティングは、入籍の有無は関係ないものの、子どもを育てることが第一の目的になるため、子どもを持つことが絶対条件です。
このように、プラトニック・コペアレンティングと友情結婚は、2人のあいだに性的関係がないという点では共通していますが、厳密には異なる意味を持ちます。
プラトニック・コペアレンティングで子どもを設ける方法
プラトニック・コペアレンティングは性的関係を持たないため、性行為で子どもを設けるわけではありません。
プラトニック・コペアレンティングで子どもを設ける主な方法は、シリンジ法・人工授精・体外受精の3つです。
シリンジ法は針のない注射器(=シリンジ)で精液を採取し、膣内に注入する方法です。自宅でも簡単に取り入れられます。人工授精と体外受精は、病院やクリニックでおこなう方法です。
ほかにも里親制度や養子縁組などの方法で子どもを迎えるケースもあります。
プラトニック・コペアレンティングを選ぶ人の特徴・背景
プラトニック・コペアレンティングを選ぶ人の特徴や背景はさまざまで、例を挙げると以下のとおりです。
- 恋愛や結婚に興味はないが子どもは欲しい
- 離婚したが子どもは協力して育てたい
- セクシャルマイノリティで結婚が難しい
- 子どもが欲しいがシングルでの子育てに自信がない
また、もともとの友人や夫婦同士でプラトニック・コペアレンティングを選ぶ人もいれば、同じ価値観を持った相手を新たに探す人もいます。
このように、プラトニック・コペアレンティングを選ぶ人の特徴や背景は、個々で大きく異なる傾向にあります。
プラトニック・コペアレンティングを選ぶメリット
プラトニック・コペアレンティングを選ぶメリットには、以下の4つが挙げられます。
- 育児における負担を分担できる
- 恋愛関連のトラブルを避けられる
- 計画性のある育児が実現しやすい
- 子どもに複数の養育者がいるという安心感がある
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
育児における負担を分担できる
プラトニック・コペアレンティングでは、子育てを2人以上の協力者でおこなうため、精神的・肉体的・経済的負担を分担できます。
夜間の対応や保育園の送迎、家事の分担などを話し合いながら進められるため、シングルでおこなう育児と比べて負担が大幅に軽減される点が大きな魅力です。
1人では難しい場面でもパートナーと助け合うことで、より安定した育児環境を整えやすくなるでしょう。
恋愛関連のトラブルを避けられる
恋愛や結婚には、感情のすれ違いや価値観の差からトラブルが起こることもあります。関係が悪化すると、子どもへの影響も避けられません。
その点、プラトニック・コペアレンティングは恋愛感情を前提としていないため、感情の変化による不安定さが少なく、関係性が崩れるリスクも低くなります。「子育て」という共通の目的に集中できるのが特徴です。
計画性のある育児が実現しやすい
プラトニック・コペアレンティングは、多くの場合、育児方針や生活スタイルを事前にしっかり話し合ったうえで始まります。
教育方針・住居の距離感・経済的負担・生活リズムなどを明確にするため、育児開始後に大きな衝突が起こりにくく、計画的でスムーズな育児が実現しやすくなるでしょう。
子どもに複数の養育者がいるという安心感がある
子どもにとって、複数の大人から愛情やサポートを受け取れるのは、大きな力になります。親の負担が偏らないため、親自身にも心の余裕が生まれ、結果として子どもは安定した環境で育つことができるでしょう。
また、異なる価値観を持つ大人との関わりは、子どもの視野を広げ、豊かな経験にもつながります。
プラトニック・コペアレンティングを選ぶメリット
プラトニック・コペアレンティングを選ぶデメリット・リスクには、以下の2つが挙げられます。
- 感情的なトラブルが起こる可能性がある
- 周囲に理解してもらいにくい
感情的なトラブルが起こる能性がある?
恋愛関係ではないとはいえ、人間同士の協力関係であるため、育児方針の違いや生活リズムのズレから対立が生まれることがあります。一方に恋愛感情が芽生えてしまうケースもゼロではないと思います。
プラトニック・コペアレンティングは新しい家族観のひとつ
プラトニック・コペアレンティングは、従来の「恋愛して結婚して子どもを育てる」という価値観から一歩離れた、新しい家族観のひとつです。恋愛や結婚に縛られず、子育てを最優先に考えられる点が魅力で、現代の多様化した生き方から自然とうまれた選択肢だと感じます。
「恋愛や結婚に興味はないけど子どもは欲しい」「離婚したけれど育児は協力しておこないたい」など、人によってさまざまな背景があります。それぞれの背景にあわせて、多様化する家族観のなかで、自分たちらしい家族の形を選択できたらいいですね。
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【書籍情報】
書名: 『友情結婚 新しい結婚の選択肢』
著者: 中村 光沙 出版社: 幻冬舎
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