【Vol.1】【友情結婚から離婚へ】「目的」だけで突っ走った成婚期に見落としていた盲点
【インタビューのきっかけ】
カラーズを設立してまだ2年が経過しておらず、成婚数もようやく20数組に到達するかどうかという、まだ設立初期の頃に成婚退会されたある女性会員様(美咲さん・仮名)から、年末にふと、数年ぶりとなるメッセージをいただきました。
そこには、驚きと共にあたたかい日常が綴られていました。
「実は私たち、離婚はしたんです。でも、高度生殖医療で授かった子どもはもう小学生になりました。
元旦那とも決して仲は悪くなくて、籍を抜いたまま一緒に子どもを育てています。お互いに『子どもが欲しい』という目的が一致していたので、今もお互いを尊重しつつ、住まいも遠すぎない距離にいて……なんだかんだで、割と上手くいっている気がします(笑)」
「友情結婚のすえに離婚」と聞くと、世間一般ではネガティブな結末を想像してしまうかもしれません。しかし美咲さんからいただいた言葉は、形式にとらわれず、お互いへのリスペクトを持ちながら「家族」を健やかに運営している、非常に新しく、尊い選択の形でした。
この貴重なご経験と、そこに至るまでの葛藤や学びは、今まさにカラーズで活動されている会員様にとって大きな指針になるはずーー。そう強く感じた私(中村)が「ぜひお話を伺わせてください」とお願いしたところ、美咲さんは「今の会員様の役に立てるなら」と快く承諾してくださいました。
子どもという共通目標に向かって突っ走った成婚期、同居生活の中で直面したリアル、そして離婚を経てたどり着いた「新しい家族の形」まで、全3回にわたる特別インタビューをお届けします。
「目的」だけで突っ走った成婚期に見落としていた盲点
語り手:成婚OG・美咲さん(仮名)/聞き手:代表 中村
ーー「目的さえ一致していれば、多少の違いは乗り越えられる」。そう信じてスピード成婚と移住を決めた、当時の強みと盲点。
中村: 美咲さん、今回はご自身の非常にデリケートで、かつ貴重なご経験をカラーズの会員様のために開示していただき、本当にありがとうございます。まず振り返りとして、お見合いから成婚まで、驚くほどトントン拍子に進んだ一番の決め手は何だったのでしょうか?
美咲さん(以下、敬称略): お互いに年齢的なリミットも意識し始めていて、「とにかく子どもが欲しい、家族を作りたい」という気持ちが人一倍強かったことです。そこがカチッと噛み合ったのが何より大きかったですね。
中村: 当時、カラーズの「話し合い冊子」をすり合わせている段階で、「ここは合意できたからもう大丈夫だ」と確信していたポイントはどこでしたか?
美咲: 一番の安心材料は、やはり「子どもを持つこと」と「そのために2人でしっかり協力し合うこと」について明確に合意できた点です。それだけでなく、お互いの役割分担や生活費の負担割合、将来はどんな住まいに居を構えるかまで、当時の私としては細かく話し合って確認できたつもりでいました。 今振り返ると、「人生の大きな目的(子ども)が一致していること」と、「日々の細かな共同生活が心地よく回ること」は全く別物であるという視点が、当時の私には完全に盲点でした。「目的さえ同じなら、多少の価値観の違いや生活リズムのズレなんて、お互いの理性でいくらでも乗り越えられるはず!」と強く信じ切っていたんです。見たい部分だけを見て、見えていないリアルがたくさんありました。
中村: 成婚と同時に、東京から離れた土地へ移住されましたよね。当時、見知らぬ場所へ行くことへの不安はありましたか?
美咲: 正直に言うと「まぁ、なんとかなるだろう」と思っていました。というより、深く想像できていなかったんです。知り合いもいない土地で暮らすこと、自分の仕事や人間関係を一からすべて築き直すことの本当の重み。頭では分かっているつもりでしたが、そこで毎日を生きるという「生活のリアルさ」までは、全く想像が及んでいませんでした。
中村: 当時は、ご自身の親御さんにはこの結婚や移住について、どのように説明されたのでしょうか?
美咲: 家族全体としては「あなたが自分で決めた人生なんだから」と、わりとあっさり受け入れてくれました。ただ、私の母だけは、強く反対するわけではないものの「本当に知り合いもいない遠い土地に行って大丈夫なの?」と、ずっと表情を曇らせて心配していましたね。
中村: 今振り返って、成婚前の冊子に「これだけはもっと深く確認しておくべきだった」と思う項目はありますか?
美咲: 「孤独への耐性」について、もっと具体的に2人で考えておけばよかったです。子育ては2人でするものですが、現実に生活が始まると、夫が仕事に出ている日中はほとんど1人で張り詰めた空気の中、赤ちゃんと向き合う時間が何時間も続きます。そんなふうに自分が「孤独」を感じた時に、夫婦間でどうやってSOSを出し、どう感情面で支え合うのか。そういった目に見えない感情のセーフティネットの重要性に、当時の私は気づけていませんでした。
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つづく>>
【Vol.2】【友情結婚から離婚へ】「優しさに囲まれて孤独」……同居生活で直面した、理想と現実のズレ
【Vol.3】【友情結婚から離婚へ】籍を抜いて見つけた、離れて育てる円満な共同子育てのかたち
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【書籍情報】
書名: 『友情結婚 新しい結婚の選択肢』
著者: 中村 光沙 出版社: 幻冬舎
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