ご成婚者様
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【Vol.1】【友情結婚から離婚へ】「優しさに囲まれて孤独」……同居生活で直面した、理想と現実のズレ
ーー周囲の優しさに包まれながら感じた、圧倒的な孤独。人としては好きなのに、同じ屋根の下で暮らすことが難しくなった理由。
中村: 実際に新しい土地での同居が始まってから、最初に「想像していた生活と違う」と突きつけられたのはどんな瞬間でしたか?
美咲: 彼の親御さんもご親族も、本当に本当に良い方ばかりだったんです。新参者の私にとても気を遣ってくださって、親切にしていただくことばかりでした。だからこそ、余計に辛かったというか……。 周囲にたくさんの温かい人がいるのに、「自分の本音をそのまま、何一つフィルターを通さずに出せる相手がここには誰もいない」という強烈な孤独感に襲われました。私は自分で思っていたよりも、ずっと孤独に弱い人間だったんだと、その時初めて自覚したんです。
中村: 特にその「孤独」を痛烈に感じた、具体的なエピソードはありますか?
美咲: 一番覚えているのは、私が体調を崩して風邪や感染症になってしまった時です。赤ちゃんにうつしてはいけないので、私は別の部屋に隔離されたような状態になりました。義理の親御さんたちは本当にありがたいことに、付きっきりでずっと子どもの面倒を見てくれたんです。 ただ、静まり返った部屋で1人で横になっている時、「本当にありがたい、申し訳ない」と感謝する一方で、心のどこかで「もしこれが私の実家なら、私の母なら、子どものことだけじゃなく、真っ先に私の体調を心配して『大丈夫?』って手を握ってくれただろうな」と思ってしまって。優しさに囲まれているはずなのに、どうしようもない寂しさが涙と一緒に溢れてきました。
中村: 妊活や、その後の育児におけるすれ違いについても教えてください。
美咲: 妊活中は、仕事を調整しながらの通院でしたし、思っている以上に心身がボロボロに消耗していきました。出産してからは、育児と仕事の両立で毎日がギリギリの体力勝負。彼は父親としての義務や役割はしっかり果たしてくれましたし、おむつ替えや寝かしつけなど、彼なりに一生懸命協力してくれました。 物理的なサポートはあっても、日々の「子どもの体調管理」や「次に何を準備すべきか」といった、表に見えない精神的な負担やマルチタスクは、すべて私一人の肩に蓄積されていきました。次第に、お互い気持ちの余裕がなくなっていったんです。
中村: 彼へのヘルプ(SOS)は出せていたのでしょうか?
美咲: 私が限界を迎えそうになると、彼は彼なりに考えて、自分の義理の親御さんを家に呼んで私を休ませようとしてくれたり、彼のご親戚や地元の友人家族を紹介して、私たちを自宅へ遊びに行かせてくれたりしました。私の孤立を防ごうと、自分のネットワークを総動員して周囲を巻き込んでくれたんです。それは本当に彼の優しさでした。 でも、当時の私が本当に欲しかったのは、外の賑やかさではなく、夫である彼自身と「今日、子どもがこんなことできて嬉しかったよ」「毎日不安だけど、一緒に頑張ろうね」という、日々のささやかな感情を共有することだったんです。
中村: 恋愛感情の有無に関わらず、人と人が同じ屋根の下で暮らし、チームとして協力していく以上、そうやって日々の感情を共有し合える関係性は必要ですよね。
美咲: はい。お互いを一番近くで支え合う「友達」や「親友」のように、私が寂しそうな顔をしている時に「どうしたの?」って気づいてほしいという期待が私の中にありました。彼が悪いわけでは決してなく、私たちが「相手に求めている距離感」が、最初からほんの少しだけ、でも決定的に違っていたのだと思います。
中村: そんな中、ついに離婚を意識されるわけですが、何が一番のブレーキになりましたか?
美咲: やはり、何よりも子どもの存在です。「両親が揃って同じ家にいる方が、子どもの成長にとって絶対にいいはずだ」「私のこの寂しさや日々の違和感さえ、ギュッと胸の奥に飲み込んで我慢し続ければ、この家族を守れるんじゃないか」と、夜中に何度も自問自答しました。彼は父親として何一つ無責任な行動をとっていない。だからこそ、周囲から見れば「離れる理由」としてはあまりにも弱いのではないかという迷いもありました。
中村: 「仮面夫婦としてでも一緒にいよう」とは思いませんでしたか?
美咲: 何度もそう考えました。でも、家庭の中で母親がずっと心を偽り、無理をして、冷え切った仮面をかぶったまま生きている。そんな両親の姿を近くで見せて育てることが、本当にこの子の将来のためになるのだろうかと疑問が湧いてきたんです。 それよりも、お互いに一人の人間として正直な形で向き合い、別々の場所から愛情を注ぎ続ける方が、結果的に子どもを健やかに育てられるのではないかーー。 「離婚は、お互いを嫌いになったからするんじゃない。家族みんなが一番自分らしく、健やかにいられる形を探すための前向きな決断なんだ」。そう自分の心にストンと落とし込めるようになるまでには、本当に長い、苦しい時間がかかりました。
中村: ちなみに、すぐに「離婚」ではなく、まずは別々に暮らして関係を見直す「別居」という選択肢を試すお考えはありませんでしたか?
美咲: 当時はそこまで金銭的な余裕もなかったので、別居しながら関係を見直すという選択は、現実的ではなかったですね。
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・前編はこちら>>【Vol.1】【友情結婚から離婚へ】「目的」だけで突っ走った成婚期に見落としていた盲点
・後編はこちら>>【Vol.3】【友情結婚から離婚へ】籍を抜いて見つけた、離れて育てる円満な共同子育てのかたち
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【書籍情報】
書名: 『友情結婚 新しい結婚の選択肢』
著者: 中村 光沙 出版社: 幻冬舎
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