LGBT・マイノリティ
きのう何食べた?特別であるという観点から作られた話ではない
こんにちは。カラーズスタッフのkenです。恒例になりつつある、kenのドラマ批評ですが、今回は何かと話題の「きのう何食べた?」について、私見を垂れ流したいと思いますw 毎週金曜 深夜0時12分放送です。
原作は人気漫画ということですので、名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。漫画が原作のドラマが増えすぎていることを、ドラマ好きとしては悲しんでいますが、面白いものは面白いと、素直に感じることも大切ですよね!
◆LGBTのほかのドラマや漫画との違い
LGBTが日常の単語になりつつある昨今。最近のドラマでは、同性愛者などセクシャルに関するテーマを取り上げるものが多くなってきています。今回のクールでも同性愛者が主役のドラマが、他にもあります。
きのう何食べた?の珍しいところは、同性愛者のカップルが主役であること。それと同性愛者が特別であるという観点から作られた話ではないと、当事者である自分が感じられているというところではないかと思います。
最近の世の中の風潮は「LGBTは特殊な人たちだから理解してあげないといけない。助けてあげないといけない。」というようなテーマで話が作られていることが多いです。
きのう何食べた?では、まず、同性愛者のカップルが同棲して日常を生きているということがベースになっていて、それを取り巻く人たちや出来事を描いているというところが、他のドラマなどとは違っているところではないかなと思っています。
◆主役はどこにでもいそうなゲイカップル??
全く知らないという人のためにも、基本設定についても触れておきましょう。
主役は筧史朗(シロさん)と矢吹賢二(ケンジ)のカップルである。
シロさんは弁護士をしていてクールでハンサム。その見た目から40代で結婚していないことを周りから怪しまれている。職場では彼女がいる設定になっているが、あいてはケンジ・・・つまり彼氏である。両親にはカミングアウト済みであるが、それもそれで悩ましい問題がいくつもある。それがまた、生々しい問題だったりしています。
仕事は嫌いではないが、基本は定時で帰宅して、スーパーで特売食材をゲットして、その日の夕食をしっかり作ることに喜びを感じている。
毎月の食費を2万5千円以内に抑え、老後のことも考えて貯金をしているが、これは自分だけのためではなく、なかなか貯金ができない、ケンジのことを思っての行動だったりもして、かわいらしい男である。
ケンジは美容師。美容師業界はセクマイの方多い気がしますね。
比較的オープンなケンジは、職場でもそれ以外でも、自分がゲイであることを隠したりはしません。もちろんシロさんと一緒の時は最低限のTPOをわきまえていますが、基本ばれたくないと思っているシロさんとの温度差をたまに感じてしまいます。
物語は基本的にシロさん目線で進んでいくのですが、この漫画のすごいところは、世の中の時の流れに沿って、主人公たちも年齢を重ねていくのです・・・。まぁ~リアルでいいんですが、書き続けるのもたいへんですよね・・・。
◆実際に起こりそうな出来事の数々
漫画では、どちらかというと料理に焦点が当たっているのに対して、ドラマでは料理はあくまでもストーリーの合間にシロさんとケンジが食卓を囲むためのアイテムとして使われている感じです。なので、二人を取り巻く方々とのかかわりがどちらかというとメインになっているのかな。
ストーリーを細かく話してしまうとネタバレになってしまいますので、印象的なものだけ切り出していきたいと思います。
シロさんのお母様が、なかなかの曲者で、シロさんがゲイだとカミングアウトしたことで、変な新興宗教や習い事を始めてしまったりするような、なかなか手のかかる方なのです。
とはいえ、自分の息子のことですから、何とか理解をしようとして、変なセミナーとかに行って、偏った知識を得ては、シロさんを困らせます。
「職場でカミングアウトしてるんでしょうね」「同性愛者なのは恥ずかしいことじゃない」
変なセミナーでそういわれたのか、シロさんに電話でそう伝えるわけです。確かにお母様の言っていることは正しいのです。恥ずかしいことをしているわけではないのです。更に最近の社会の状況から考えても、職場でカミングアウトしても大ごとにはならないかもしれません。
でもね、何かあるごとに、ゲイであることを理由に色眼鏡で見られることが容易に想像できるのです。それにまだまだ理解が進んでいない業界もたくさんありますから、シロさんのように堅めの職業の人はなおさら大変だと思うのです。
実際、シロさんのお母様のような人っていっぱいいるんですよね。恥ずかしいことではないのだから・・・その通りだけどさぁ~そんな簡単なものでもないんですよ。。
「シロさんがゲイでも犯罪者でも受け入れる覚悟ができている」
このセリフ、ドラマではあまりしっかり取り上げられていないんですけど、一般の方々から見たら、ゲイであることと犯罪者であることが同列に見えているという、印象的なセリフです。このセリフって、もう一つ前のセリフと整合性が取れてないと思うんですよね。やっぱり自分の息子がゲイであることを、恥ずかしい、または世間様に顔向けできないことという認識になっているということなんだと思うんです。
そんな、お母様との距離感をうまくつかめないシロさんには、お料理仲間の佳代子さんというお友達がいらっしゃいます。
佳代子さんは子供がすでに独立して、旦那様と二人暮らし。スーパーで売っていたスイカ1玉の特売品を「2人じゃ食べきれないけどお買い得だわ」という目でシロさんと眺めていたことをきっかけに仲良くなった方です。
佳代子さんとの出会いエピソードは結構好きな話なので、語りだしたら長くなってしまうので、ぜひドラマか漫画を見てくださいねw
佳代子さんはシロさんがゲイであることも、ケンジと同棲していることも知っています。佳代子さん経由で、佳代子さんの旦那様も娘もシロさんがゲイだということを知っているけれど、変な目で見ることなくお付き合いしてくれている素敵な家族です。
そんな佳代子さんとのやり取りの中で、シロさんはお母様の気持ちを少しずつ理解してきたりするのがほほえましいです。
「うちの母も佳代子さんくらいの距離感でいてくれたら」
シロさんが佳代子さんにそう漏らすと、佳代子さんが的確な返事をするわけです。
「それは無理よ。私にとって筧さんは他人で家族とは違うもん。私だって娘が同性愛者だって言われたら冷静ではいられないかも。」
そうなんですよね。他人事だから冷静でいられるんです。
自分の身内や、会社でも自分の部署に同性愛者がいたら、なんだかんだ冷静ではいられないんだろうなと思います。
僕はカミングアウトをしたことがないので、リアルな体験はないですが、会社で同性愛者の話になると、
「私、ゲイの友達とかいるので全然気にしません」
とか言う女子がいますが、「で?」って思ってしまいます。
私は心の広い女ですということをアピりたいのでしょうか??大体こういうこと言う女は、ゲイから嫌われるだろうなという人が多い!
あっ。ドス黒い言葉が出てきそう・・・・・・。
◆リアルなゲイの現状を理解してみよう
カラーズの会員の方々の中にも「ゲイって何を考えているのかわからない」「ゲイがどんな生活をしているのか想像できない」という人は少なくないと思います。
考え方も生活も千差万別ですので、理解するのは難しいですが、このドラマまたは漫画を見ることで、ゲイの人たち特に40代前後の方々が抱える悩みや、周りを取り巻く人々の考え方、自分が置かれている立ち位置や状況について勉強することができるのではないかと思います。
ゲイは楽しそう。楽に生きている。と思われがちですが、そうでもないんだよということが少しでも世間一般の方々にわかってもらえると嬉しいと思う今日この頃。
でわでわ
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